地震大国日本では、いつどこで地震が起きるか分からないというのが現実です。日頃から防災グッズや避難場所を確認するなど災害に備えるのはもちろん、住宅の耐震性を上げておくことも大切になります。今までに起きた大地震と呼ばれる災害において、家屋や家具の倒壊が原因で命を落とした人は少なくありません。
皆さまのご自宅の耐震性はいかがでしょうか?また、耐震補強が必要な家はどのような家なのでしょうか?
耐震リフォームが必要な家はどんな家?
ご自宅の耐震性がどうなっているのかを素人目で判断するのは難しいです。しかし、下記の項目に当てはまっていればその家は耐震リフォームが必要かもしれません。
- 1階に窓が多く、壁の面積が少ない
- 1階と2階が同じ大きさではない
- 屋根が瓦などで出来ており、重い
- 不安定な地盤の上に建っている
- 1981年より前に建てられている
耐震リフォームはどんなことをする?
耐震リフォームはその建物に合わせて基礎や壁の補強を行っていきます。
基礎の補強 | 20年ほど前までの住宅には、基礎に鉄筋が入っていない無筋コンクリートで出来ているものも多いです。このような基礎にコンクリートを打ち増ししたり、クラックなどを専用の注入材で補強します。 |
---|---|
床の補強 | 柱と柱の間にブレース(強度を持たせるためにたすき掛けに設ける部材)をかけます。これにより床が歪みに強くなります。 |
足元の補強 | 柱が抜けないように金属で固定し、柱の足元部分を強化します。アンカーボルト(土台を基礎に連結するために埋め込むボルト)が無い場合、これも取り付けます。 |
壁の補強 | 柱と柱の間にブレースをかけ壁を補強します。壁の補強には外壁を撤去して土台や柱の様子を把握しながら施工する方法と、内壁を撤去して中から様子を把握し施工する方法があります。 |
屋根の軽量化 | 屋根が重いと建物に負担がかかり、不安定になります。屋根を軽量化することで負担を減らし、地震の際揺れを小さくすることができます。 |
接合部の補強 | 柱の接合部に金属が使われていない場合は、柱が引き抜けるのを防ぐために金属で固定します。 |
傷んだ部分の交換 | 柱や土台が腐食している場合、その部分を交換した上で防蟻処理を施します。 |
柱や壁、屋根などを部分的に修復する工事なら部屋ごとに施工ができますが、基礎部分の耐震補強の工事は大規模になりますので住みながらのリフォームは難しくなります。
場合によってはリフォーム期間中仮住まい暮らしになることを視野に入れておきましょう。
耐震リフォームに必要な費用
耐震リフォームに必要な費用の相場は?
耐震リフォームにかかる費用は平均を取ると約120万円で行われることが多いようです。しかし家の状態や必要な内容によってかなりの差がでて、高額な場合だと300万円以上になることもあります。
耐震リフォームの費用を抑えたいときは?
耐震リフォームの費用を抑えたい場合は、優先順位が高い順番に工事をして予算内に収めましょう。家全体の耐震補強ができたらよいに越したことはありませんが、すべて行うと費用が膨れ上がってしまいます。
できるだけ費用を抑えて効果的に耐震リフォームを行いたい場合は、下記の優先順位を参考にしてみてください。
- 1. 土台・柱の劣化や腐食の修復
- 2. 壁の補強
- 3. 土台・柱の耐震金具による補強
- 4. 外壁・基礎のひび割れ補修
- 5. 屋根の軽量化
基本的には柱や土台など家を支える重要な部分から修復することになります。しかし、家の状況によってはこれらの優先順位とは違った部分の優先度が高くなることもあるため、よりご自宅に合った場所が知りたい方は耐震診断を行いましょう。
耐震リフォームの補助金制度
現在では耐震リフォームを対象とした補助金制度を用意している自治体も少なくありません。
大阪市を例に挙げた場合、以下の条件などを満たしていると耐震リフォームの補助金対象となり、住宅の所有者または住宅に住もうとしている方は補助金を申請できます。
- 大阪市内にある民間住宅
- 平成12年5月31日以前に建てられた住宅
- 住宅に面する道路などの幅が2.7m以上
- 申請者の年間所得が1200万円以下
- 住民税、固定資産税、都市計画税を滞納していない など
補助率と限度額は下記のようになります。
補助率 | 改修工事に必要な費用の1/2以内 |
---|---|
限度額 | 1,000,000円/戸 (負担額に応じてさらに最大200,000円/戸を加算) |
▼概要・内容 ▼補助内容 ▼申請できる人 ▼申請方法等 ▼申請書類等 概要・内容 この制度は、地震に強い安全なまちづくりを目指すため、平成37年度における民間住宅の耐震化率を95パーセントとすることを目標に、耐震診断・耐震改修設計・耐震..
耐震リフォームの減税制度「投資型減税」
投資型減税は自分が住む家の耐震リフォームを行ったら適応される減税制度です。適応される条件には下記のようなものがあります。
- 自分が住居する住宅の改修工事であること
- 昭和56年5月31日以前に建てられた住宅であること
控除期間、限度額、控除率などは下記の通りです。
控除期間 | リフォームの完了日が属する1年 |
---|---|
控除対象限度額 | 200万円 (平成21年1月1日~平成26年3月31日) 250万円 (平成26年4月1日~令和3年12月31日) |
控除率 | 控除対象額の10% |
No.1222 耐震改修工事をした場合(住宅耐震改修特別控除)|国税庁
住宅耐震改修をした場合の住宅耐震改修特別控除とは、個人が、平成18年4月1日から平成33年(2021年)12月31日までの間に、自己の居住の用に供する家屋(昭和56年5月31日以前に建築されたものに限ります。)について住宅耐震改修をした場合には、一定の金額をその年分の所得税額から控除するものです。
成功のカギは業者選びに
耐震リフォームの費用を安く抑えてかつ成功させるには、リフォーム業者選びが重要になってきます。
業者の中には相場より高い金額を提示したり、逆に極端に低すぎる金額を提示したり、家が倒壊するなどと恐怖心をあおるところもありますので、複数の業者をよく比較して検討しましょう。